合気道

少年の作文から得た気づき

投稿日:2018年4月2日 更新日:

 

小さいころから私の道場に熱心に通っていた少年も、4月から中学生。中学生になっても合気道を続けたいと希望しており、一般クラスとして白帯からスタートし、部活との兼ね合いも考慮しつつ、継続して通うことになった。

その少年が書いたという作文を拝見し、2つの気づきがあった。

稽古は己が内に積み上げること

道場の子ども達は地元のお祭りの際、ステージ上で毎年演武を披露している。その少年は出番を待つ間「失敗したらどうしよう」とか「失敗しちゃダメだ」と思いながら、緊張して待っていたのだとか。その一方、最後に私が披露する道場長演武で、私が全く緊張することなく大学生をバンバン投げていたのを見て驚き「あんな演武をしてみたい」そう思ったと作文には書かれていた。

演武する際は、どうしても他人の目を意識してしまう。他人が見ていると思うと、失敗したらカッコ悪いと思う。でもあの時の私は、他人の目を全く意識せず、その時その時で自然に出てくる技を無理なくかけていた。投げに失敗したとしても、失敗した状態から別の技に変化すればいい、だから失敗はない、そう思っていた。だから緊張とは無縁だった。

他人の目を意識すると、どうしても他人の目に良く映る技を出そうとしてしまう。派手な技や痛そうな技、見栄えのいい技を選んで見せびらかす。勢い、普段の稽古も他人の目を意識した稽古となる。

しかし、本来の稽古というものは外側に向けたものではなく、自分の内側に向けたものである。自分の内側にひたすら積み上げて行き、演武の機会があれば、その時までに積み上げたものを見てもらい、再び稽古に戻って、自分の内側にひたすら積み上げることを一生繰り返していく。

稽古は己が内に積み上げることなのである。

まっすぐに次の世代へ受け継いでいく

私には我があり、クセもある。最近よく兄弟子と二人で稽古しており、その都度我やクセを正してもらっている。私も現在進行形で修業中なのである。

指導者に「我」や「私」があると、どうしても技が曲がってくる。その曲がった状態で伝えてしまったら、どうなるだろうか?最初はほんの小さな曲がりであっても、年月が経てばその曲がりは回復不可能な程に大きくなってしまうのではないか?

指導する立場の人間は、本当に責任重大だと思う。自分自身が「我」と「私」を捨てて修行し、次の世代にまっすぐに技を伝えなければならない。どこかで聞いたのだが、器に満々と水が張ってあり、それをこぼさぬように、余計なものを足さぬようにして次の世代に受け渡す、それが修行なのだと。

上下ではなく前後

一人の少年が書いた作文から得た「稽古は己が内に積み上げること」「まっすぐに次の世代へ受け継いでいく」この2つの気づき。この少年に合気道を教えたのは私だけれども、今回この少年から教わったのは、むしろ私の方だ。

こうしてみると、上下なんて全くなくて、あるのは前後だけということがよくわかる。相手が子どもであろうとも、同一平面上に存在しており、そこに上下はない。たまたま私が前を歩いているだけで、あるのは前後だけである。その前後ですら時々逆転することもある。

あるのは上下ではなく前後。だから偉そうにふんぞり返るのではなく、謙虚に頭を下げて学ぶ、それが武道家の正しい姿なのだと思う。

 


 

「宇宙パパ」こと「小池浩」さんが、サンマーク出版から2冊目の本を出すそうです。

そのタイトルは・・・まだ分かりません(笑)。もし興味があるかたは↓こちら↓から購入も可能です。

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