クラクション(ホーン)が鳴らない。とても困ります。駐車場でこちらの存在に気付かずにバックしてきたとか、死角に入っている車両や歩行者に自分の存在を伝える、走行中に前の車がフラフラしているなど、危険が迫っている状況で使いますね。クラクションが鳴らない原因とは何でしょうか?
クラクションが鳴らないと車検NG
クラクションが鳴らないと、車検は不合格となります。クラクションは危険が差し迫っている状況で使用するものですから、鳴らない、鳴りにくい、音の立ち上がりが弱いなどがあれば車検不合格です。またラッパのマークが描かれていないと、やはり車検NGとなるようです。
ホーンが鳴らない、カチカチ音がする
ホーンが鳴らず、ホーン本体からカチカチ音だけしている場合に考えられるのは、アース不良です。ホーン本体に電源を供給する配線が1本の場合、その配線に+12Vや+24Vが来ていて、マイナス極はボディアースから取っています。
ホーン本体をボディに取り付けるボルトナットが緩んでいたり、錆や塗装などで金属同士の電気的な接触が甘い場合、ホーンが鳴るのに必要な電流が流れず、それがカチカチ音となって現れます。
ホーン本体を車体に取り付けている部分の締付、取付部分の錆の有無を確かめてみましょう。
クラクションが鳴らない場合の修理代
トヨタダイナのお客さん。「クラクションが鳴りにくい時がある」ということでお困りの様子でした。
走行距離が30万キロを超えているということもあり、ステアリング回りを点検してみました。
ステアリングの取外し
ステアリング中央にある、ホーンカバーを外します。ビスを一か所外して引っ張ると、ホーンカバーが外れます。ホーンカバーの裏側に1本の配線があり、ターミナルを介してステアリングの裏側とつながっています。
ハンドルをロックさせ、十字レンチの17ミリでナットを外します。ステアリングコラムシャフトとステアリングはスプラインでかん合しているので、合いマークをつけてから外します。
スプラインのかん合部分は、ハンドルを持って前後に揺する感じで外れます。
接点部の点検
ステアリングを外した裏側の写真です。金色の輪っかが見えると思いますが、これが接点になっています。輪っかの一部が表側に入っていますが、これが1枚目の写真に写っていたターミナルにつながっています。この輪っかの部分には特段問題は見受けられませんでした。
ステアリングコラム側を見るとシャフトの真上に直径5mm位の丸い部品が見えると思います。拡大してみると↓こんな感じ↓になっています。
これがステアリング裏の輪っかと常に接してます。電気的な接触が途切れないように裏からバネで上に押し上げています。
電車のパンタグラフと電線を思い浮かべてもらえれば良いかと思います。動く電車に電気を供給するには、むき出しの電線にパンタグラフを押し付ける感じで常に電気的な接触を保っている、そんなイメージです。
実際に分解して見たことはありませんが、回転する看板とか、観覧車もこのような感じで給電しているはずです。
写真に写っているこの丸い接点となる部品がすり減り、摩耗限界を迎え、ステアリング裏の輪っかとの接触が保てなくなったのが「クラクションが鳴りにくい時がある」の原因です。
クラクションが鳴らない場合の修理方法
このような場合、接点を交換するのが一番いいのですが、部品の供給の問題もあり、今回は修理することにしました。
修理方法ですが、接点を温めてハンダを盛り上げることにしました。
↓こちら↓のようにハンダごてで接点を温めます。40Wのハンダごてを使いました。
接点を覆うようにハンダを溶かしていき、その上からさらにハンダを盛り上げます。
ちょっと分かりにくいですが、↓こちら↓のように5mmほど盛り上がりました。
ステアリング裏側の輪っかに薄くグリスを塗り、元通りに組み上げて、軽くポンポンでクラクションが鳴ることを確認して終了です。
修理代はいくら?
今回は別の大きな修理と一緒でしたので、修理代はいただきませんでした。もしこの修理単体で入庫した場合、0.5時間で3,250円+消費税で、3,500円前後の請求となったかと思います。エアバッグが付いている場合は、バッテリーを外すなどの作業が追加になるため、もう少し高くなるかと思います。