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ワゴンRエアコン修理費用|コンプレッサー、リレー、プレッシャスイッチ、リコール|MC22S

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ワゴンRのMC22S。ワゴンRとしては発表されてから20年近く経っていますが、まだまだ現役で活躍しているのをよく見かけます。うちの工場では、サービスカーとしてMC22Sが現役で動いていますが、先日思わぬ形でエアコンの故障が発覚しました。

ワゴンRのエアコンが効かない

ワゴンRのエアコンが効かない原因は色々考えられます。

コンプレッサーの故障

風は出るけど冷たくない、そんな症状の時はエアコンコンプレッサーの故障が考えられます。エアコンコンプレッサーの本体が故障する場合もありますが、マグネットクラッチと呼ばれる部品の故障も多いです。

いずれにせよ、エアコンコンプレッサーを丸ごと交換する対処が多いと思います。純正品を買うと10万円近い部品代になりますので、リビルト品を使うことが多いです。リビルト品を使えば部品代を2万円~4万円程度に抑えることができます。

リレー故障

ACスイッチをONにしても、エアコンコンプレッサーが動いていない場合は、リレーの故障が考えられます。エアコンコンプレッサーが動く時は、エンジンルームから「カチッ」という音がして、エンジンの回転数が上がります。

この「カチッ」という音はエアコンコンプレッサーのマグネットクラッチがONになった時の音で、マグネットクラッチをONにするのがリレーです。

エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチがONになると、エンジンの回転を止める方向に力が働きますので、エンジンを止めないためにアイドルアップ(回転数を上昇)させるのです。

リレーは2,000円程度で手に入ります。

プレッシャスイッチ故障

エアコンはフロンガスと呼ばれる冷媒を循環させて冷しています。フロンガスをコンプレッサーで圧縮して液状にし、圧縮によって発生した熱をファンで冷まし、液状のフロンガスを車内で気体に膨張させることで車内の熱を奪います。

フロンガスが循環している配管の途中に、プレッシャスイッチと呼ばれる圧力センサーが挿入されています。このセンサーは、フロンガスが一定以上の圧力の時だけONになります。

このセンサーが壊れていると、いつまで経ってもONにならないため、コンプレッサーのマグネットスイッチもONになりません。結果として「冷えない」という症状になります。

プレッシャースイッチは3,000円程度ですが、フロンガスが抜けるので、フロンガスも同時交換となります。

ファン(ブロアモーター)の故障

そもそも風が出ない場合は、車内にあるファンが故障しているケースがあります。車内のファンはブロアモーター、ブロアファンとも呼ばれていて、走行距離に関係なく、ある程度使ったらいずれ故障します。ブロアモーターが故障したら新品との交換となります。

ブロアモーターは部品代で5,000円~8,000円位です。

ワゴンRエアコンガス漏れ

うちの工場で使っているMC22SのワゴンR。エアコンが効かない原因を探っていくと、ガス漏れがその原因でした。

フロンガスが循環している配管のどこかに穴が開いていて、そこからフロンガスが漏れ、プレッシャスイッチがONにならず、エアコンコンプレッサーもONにならないという状態でした。

風は出てくるものの、ぬるい風。窓をあけて外気を入れた方がまだ涼しい位です。

ガス漏れの原因は意外なものでした。

サクションホースが原因だった

ガス漏れの原因は意外なところから判明しました。エアコンの配管にゲージマニホールドと呼ばれる圧力計を取り付け、エアコンガスを補充したところ、ベルト付近から「シューッ」という音が聞こえました。

ゲージマニホールドのネジが緩んでいて、そこから漏れたと勘違いした私は慌てて締め直しを行いますが、それでも「シューッ」という音は止まりません。

音の発生個所を見てみると、エアコンコンプレッサーから出ているホース(サクションホース)の途中から、オイル交じりのガスが噴出していました。

よくよく見てみると、サクションホースが回転するプーリーに触れ、少しずつ削れ、ついにホースに穴を空けてしまったようです。

※写真は切り離した後の写真です。

サクションホースは手に入る?

サクションホースはすぐに手に入るでしょうか?部品が県内に入れば数時間で入手できますが、なければ部品待ちとなります。その間も車には乗れますが、梅雨明けしたこの気温で、エアコンなしの車に乗れますかということですね。

純正品番は 95710-76F03 で、金額は5,000円程度です。部品屋さんに電話してみると、その品番では出ていなくて、改良されており、金額も8,000円近くに上がっているとのこと。

工場代車、サービスカーにかけられる金額としてはギリギリの金額ですが、そもそも部品が県内にないとのことで、交換を断念、自分で修理することにしました。

サクションホースの修理

穴が開いたのはゴムのホースですから、切ってつなぐという事ができます。職人専門のお店が近くにあるので、ホースとホースの間をつなぐ接手とホースバンドを入手しました。

接手は鉄の方が安いのですが、フロンガスが循環するということで、砲金と呼ばれる真鍮製の接手を使うこととしました。

不格好ではありますが、ガスが漏れなければOKと割り切って取り付けました。

真空引きとガス補充

配管を取り付け、ゲージマニホールドを取り付けて真空引きを行います。真空ポンプで10分ほど真空引きを行い、その後10分ほど放置して、負圧を保っているかどうかを確認します。

負圧を保っているならば、外気が入るすき間がないという意味ですので、フロンガスを補充しても漏れは出ないはず。ゲージマニホールドにフロンガスの缶をつないで、フロンガスを補充していきます。

エンジンをかけてエアコンをONにし、フロンガスを2本半ほど補充すると、車内がかなり冷えてきました。エアコン復活です。

走行テストと翌日の確認

走行テストをしながらエアコンの効きを確かめ、一晩放置します。翌日もよく晴れて、危険な位の暑さです。温室と化した車内に入りエンジンをかけると、昨日と同様に冷えた風が勢いよく出てきます。

そのまま10分ほど放置して車内に入ってみたところ、車内はキンキンに冷え、とても快適な状態。これでしばらく様子をみましょう。

サクションホース交換時の注意点

サクションホースが手に入ったとして、サクションホースを交換する場合は、注意点があります。

それは回転するプーリーにホースが触れないように、回転部分からホースを遠ざけるということです。そうしないとまた同じ問題が発生してしまうからです。

ホースにタイラップ等を取り付け、回転部分から離すという方法もあるかと思いますが、それよりも、ホースの端っこにあるアルミパイプの角度を調整すれば、ホースは自然に回転部分から離れます。

今回はエアコンコンプレッサーとつながっている部分のパイプをバールで少しだけ曲げて角度をつけ、ホースが回転部分に触れないように調整しました。

ワゴンR・MC22Sのリコールの確認

スズキのサイトで、リコール情報の確認ができます。車検証に記載されている「車台番号」を入力して調べます。

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