故障修理事例

ブレーキダストとは|摩耗限界を超えたディスクはこうなる

投稿日:2020年8月10日 更新日:

ホイールが茶色く汚れる、特にフロントに履いたアルミホイールに、茶色い汚れが目立ちます。これがブレーキダストですね。ブレーキダストの原因は、ディスクブレーキのパットとローターが削れ、サビとなったものです。ホイールが茶色く汚れるという事は、ブレーキパッドやローターがそれだけ減っているということです。

ブレーキパッドの摩耗限界

ブレーキパッドの摩耗限界は3mmと言われています。ブレーキパッドはベースとなる金属の部分と、削れていくことで制動力を生み出すパッドの部分があります。新品のパッドは10mm位の厚さがありますが、実際にブレーキが効くのは7mm位で、残りの3mmはベースとなる金属との接着層となりますので、ここまで減ってしまうとブレーキの効きが悪くなります。

ブレーキディスクの摩耗限界

ブレーキディスクの摩耗限界は、ディスクの形状により異なります。ベンチと呼ばれる、間に空洞があり、熱を逃がすタイプの場合は、ディスクの側面に摩耗限界を表す切り欠きがあります。この切り欠きに摩耗が近づいたら交換となります。

ソリッドと呼ばれる空洞がないタイプの場合は、厚さよりは走行距離で交換した方が良いでしょう。目安としてはパッド交換の2回に1回ディスク交換ですね。5万キロでパッド交換と考えれば、ディスクは10万キロで交換という感じになります。

パッドとディスクを毎回セットで交換できるならば、そうした方が良いかと思います。

ブレーキパッドの残厚がゼロになると

ブレーキパッドの残厚がゼロになるとどうなるか。パッドがないので、金属のディスクを、金属で挟んで止める形となり、ブレーキを踏むたびに「ゴーッ」という音が足元から聞こえてくるようになります。

一見してブレーキが効いているように見えますが、効きは良くないし、熱も発生します。熱が発生すれば「べーパーロック現象」が発生して、よりブレーキが効きにくくなります。

残厚ゼロを放置しておくと

ではここで、ブレーキから「ゴーッ」という音が鳴っているのに、気にせずに乗り続けたらどうなるでしょうか?ハイ、こうなります。

軽自動車の左フロントホイールです。ホイールが汚れるだけなら分かりますが、タイヤまで茶色く汚れています。ブレーキダストによる汚れとしては、ちょっと異常な汚れ方と言えます。

ブレーキダストを近くで見てみると、アルミホイールにビッシリとこびりついています。これはブレーキパーツクリーナーでは落とせないレベルです。

タイヤを外してみました。えっ?えっ?

「土星の環」的なものが、ボロッと取れました。コレ何なん?

キャリパーのすき間からパッドとディスクが見える・・・はず・・・

ピストンが限界まで出きっている?

キャリパーを外してみました。内側のブレーキパッドは残厚5mmといったところでしょうか。外側は測定不能。何よりディスクは何処?

キャリパースライドピン。あり得ないほどサビて固着しています。

キャリパーとステーを外してみました。土星の環的なものは、もしかして・・・ディスク・・・?

全部外してみました。ディスク本体は3つに分かれました。ペラッペラの輪が3つ。それらを挟む、金属がむき出しになったディスク。

作業内容と整備料金

流石にここまで摩耗した車の整備は初めて。作業内容は以下です。

  • ブレーキディスクとパッド新品、キャリパーシールキット手配
  • ピストンサビ落とし、キャリパーオーバホール
  • キャリパースライドピンサビ落とし、グリスアップ
  • エアー抜き

部品代15,000円、工賃10,000円程+消費税と言ったところですね。お客さんに純正品番を教えて、楽天市場でディスクとローターのセットを購入してもらうと、部品代は10,000円を切る感じになります。

車の異常を感じたら、まずご相談下さい

これね、でもね、事故にならなくて良かったですよ。東北自動車道で、長い下り坂の後に急カーブとかあるじゃないですか。下り坂でブレーキを踏んでいたら、熱でブレーキフルードに気泡ができて、ブレーキが効かなくなる(べーパーロック現象)なんてことも十分に考えられます。

単独事故ならまだいい(←よくない)のですが、誰かを巻き込んだり、同乗者の方に怪我をさせてしまったら取り返しがつかないですね。

なので異常を感じたら、早めにご相談頂きたいのです。普段から乗っている方の感覚って結構正しくて、結構大事なのです。

ご相談は↓こちら↓までどうぞ~

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