ホイールが茶色く汚れる、特にフロントに履いたアルミホイールに、茶色い汚れが目立ちます。これがブレーキダストですね。ブレーキダストの原因は、ディスクブレーキのパットとローターが削れ、サビとなったものです。ホイールが茶色く汚れるという事は、ブレーキパッドやローターがそれだけ減っているということです。
ブレーキパッドの摩耗限界
ブレーキパッドの摩耗限界は3mmと言われています。ブレーキパッドはベースとなる金属の部分と、削れていくことで制動力を生み出すパッドの部分があります。新品のパッドは10mm位の厚さがありますが、実際にブレーキが効くのは7mm位で、残りの3mmはベースとなる金属との接着層となりますので、ここまで減ってしまうとブレーキの効きが悪くなります。
ブレーキディスクの摩耗限界
ブレーキディスクの摩耗限界は、ディスクの形状により異なります。ベンチと呼ばれる、間に空洞があり、熱を逃がすタイプの場合は、ディスクの側面に摩耗限界を表す切り欠きがあります。この切り欠きに摩耗が近づいたら交換となります。
ソリッドと呼ばれる空洞がないタイプの場合は、厚さよりは走行距離で交換した方が良いでしょう。目安としてはパッド交換の2回に1回ディスク交換ですね。5万キロでパッド交換と考えれば、ディスクは10万キロで交換という感じになります。
パッドとディスクを毎回セットで交換できるならば、そうした方が良いかと思います。
ブレーキパッドの残厚がゼロになると
ブレーキパッドの残厚がゼロになるとどうなるか。パッドがないので、金属のディスクを、金属で挟んで止める形となり、ブレーキを踏むたびに「ゴーッ」という音が足元から聞こえてくるようになります。
一見してブレーキが効いているように見えますが、効きは良くないし、熱も発生します。熱が発生すれば「べーパーロック現象」が発生して、よりブレーキが効きにくくなります。
残厚ゼロを放置しておくと
ではここで、ブレーキから「ゴーッ」という音が鳴っているのに、気にせずに乗り続けたらどうなるでしょうか?ハイ、こうなります。
軽自動車の左フロントホイールです。ホイールが汚れるだけなら分かりますが、タイヤまで茶色く汚れています。ブレーキダストによる汚れとしては、ちょっと異常な汚れ方と言えます。
ブレーキダストを近くで見てみると、アルミホイールにビッシリとこびりついています。これはブレーキパーツクリーナーでは落とせないレベルです。
タイヤを外してみました。えっ?えっ?
「土星の環」的なものが、ボロッと取れました。コレ何なん?
キャリパーのすき間からパッドとディスクが見える・・・はず・・・
ピストンが限界まで出きっている?
キャリパーを外してみました。内側のブレーキパッドは残厚5mmといったところでしょうか。外側は測定不能。何よりディスクは何処?
キャリパースライドピン。あり得ないほどサビて固着しています。
キャリパーとステーを外してみました。土星の環的なものは、もしかして・・・ディスク・・・?
全部外してみました。ディスク本体は3つに分かれました。ペラッペラの輪が3つ。それらを挟む、金属がむき出しになったディスク。
作業内容と整備料金
流石にここまで摩耗した車の整備は初めて。作業内容は以下です。
- ブレーキディスクとパッド新品、キャリパーシールキット手配
- ピストンサビ落とし、キャリパーオーバホール
- キャリパースライドピンサビ落とし、グリスアップ
- エアー抜き
部品代15,000円、工賃10,000円程+消費税と言ったところですね。お客さんに純正品番を教えて、楽天市場でディスクとローターのセットを購入してもらうと、部品代は10,000円を切る感じになります。
車の異常を感じたら、まずご相談下さい
これね、でもね、事故にならなくて良かったですよ。東北自動車道で、長い下り坂の後に急カーブとかあるじゃないですか。下り坂でブレーキを踏んでいたら、熱でブレーキフルードに気泡ができて、ブレーキが効かなくなる(べーパーロック現象)なんてことも十分に考えられます。
単独事故ならまだいい(←よくない)のですが、誰かを巻き込んだり、同乗者の方に怪我をさせてしまったら取り返しがつかないですね。
なので異常を感じたら、早めにご相談頂きたいのです。普段から乗っている方の感覚って結構正しくて、結構大事なのです。
ご相談は↓こちら↓までどうぞ~