合気道

苦手な人ほど飛び込む

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仙台の鈴木@道場長です。

日立に勤めていた頃、尊敬する上長から「鈴木はクソ度胸だけはあるからな」と言われた事があります。褒められたのかどうかがかな~り微妙ですが、たぶん褒められたんでしょうね。私の大学生時代は、師匠の道場が週に6日も稽古がありましたので、ほぼ毎日柴田先生と稽古していました。当時体重100キロ近い先生の技を、当時75キロそこそこの私が受ける。ボクシングやレスリングの階級を考えたら、25キロの差はかなり危険。稽古中に体力を消耗し尽くして開始15分で動けなくなったり、稽古を中断してトイレで吐いたり、丸太のような腕でガツンと顎を強打され、直後に畳に叩きつけられてしばらく起き上がれなかったり、剣を持つ両手が痺れているのに容赦なく先生の剣が降ってきたりと、命の危険を感じる事は何度も何度もありました。稽古着は毎回汗を絞れるほど濡れてたし。でもケガはしないんですね。ホント不思議。きっと手加減してくれたんでしょうね。

それと比べたら、社会で受ける試練なんてホント軽い。命の危険を感じることなんてまずないでしょ。苦手な人、嫌な人というのはいるかもしれないけど、懐に飛び込んでみれば、悪い人なんてそうそういない。どうせ命までは取られないしね。

苦手な人ほど飛び込むんです。遠くから眺めてたら何も得られないし、半端に近いと相手のペースでいいようにやられちゃう。だから飛び込む。懐に飛び込んでこられたら、案外何もできないもんですよ。嫌だな~、苦手だな~と思う人ほど、飛び込んでこられると弱い。格闘技だって、下がったら相手の選択肢が増えてどんどん技を繰り出されちゃう。でも前に出たら相手の選択肢はグンと減るんです。

合気道の本部道場に対しても苦手意識があったんです。あんな華麗な合気道は俺にはできねぇってね。でも全東北の講習会で、本部道場の代表である道主先生が「来なさい」と言って手を出すんです。手を出されたら、相手が誰であろうといつものクソ度胸で掴みに行くわけです。そしたらポンポンポンポン投げられる。導かれ、崩され、ホントいいようにあしらわれる。周囲には東北の支部長クラスの先生方もいて、笑いながら私が投げられる様を見てる。「すずき~、ガンバレ~」なんて声援まで飛んでくる。それ以降、技が替わるごとに毎回私を投げに来られた。道主先生の実験台というか、研究対象。おかげで私も東北ではすっかり有名人。そんな形で名前が売れるとは(笑)

それ以降、苦手としていた本部道場に飛び込むようになった。東京で中古車を買い付けて、新宿のビジホで一泊して、翌日の午前中に稽古してから買い付けた中古車で仙台へ帰る。苦手としていた本部道場だって、飛び込んでみれば、そうそう悪い人はいない。最初はちょっと意地悪されて顔面に当身を入れられたような気はするけど、ドンマイドンマイ。でも自分に足りないものに沢山気がついた。今稽古している相手をいかに1時間楽しませるか。今はこれ。でも技は変わってないから。技の出し方が変わったんだろうね。1時間前は全くの他人だった人と、1時間後には「いや~勉強になりました」「お強いですね~」と会話が弾むなんて、私の学生時代は有り得なかったからね。でもこれって、ホント理想的な稽古じゃん。

相手を強く投げる事もできるし、優しく導く事もできる。相手の自信を失わせることもできるし、相手に自信をつけさせることもできる。ホント技の出し方次第。昔を知る後輩が今の私を見たらびっくりするんじゃないかな。「鈴木先輩、変わった!」ってね。稽古の時だけじゃなく、対人関係全般も変わってきた。道主先生が講習会の最後に「鈴木さん、あなたはいい人だから来なさい」とおっしゃった。その言葉に従って飛び込んでみたけど、ホント正解。これも何かのお導きなんでしょうね。

例外はあるよ。悪しき体育会を今だに引きずってる○○さんとか。クラッシャーで有名な○○さんとか。腕組みして口をへの字に曲げて文句ばっかり語ってる○○さんとか。そういう人には絶対に飛び込まない。私だってバカじゃないから、飛び込む相手は慎重に選びます(笑)。

話が飛びましたが、「どうせ命までは取られないから、思い切って飛び込め」ってことです。若い人は特にね。

では~

 

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