タイヤ交換の季節です。半年前に交換し、保管しておいた夏タイヤを取り出して見たら、ホイールがブレーキダストでまっ茶色に汚れていて、新品の手袋が一瞬で台無しになってしまった。そんな経験ありますよね。特に外車に乗っておられる方はよく経験していると思います。ここでは原因と対策について述べたいと思います。
ブレーキダストの原因
ブレーキは運動エネルギーを変換する装置
ブレーキは、自動車の運動エネルギーを、ブレーキパッドとディスクローター間の摩擦熱に変えることで減衰させる装置です。軽自動車でも車重が800キロ、コンパクトカーなら1トン、3ナンバーなら1.5トンと、それなりの重さがあるものがかなりの速度で動くのですから、その勢いを止めるブレーキにはかなりの負担がかかります。
ブレーキを踏むと起きること
ブレーキを踏んだ時の力(踏力)は、ブレーキフルードと呼ばれる液体を通して、各車輪に伝わります。足の力には限界がありますので、エンジンの力を借りてブレーキの力を倍増させる装置がついていますので、軽く踏んでも車の速度を落としたり、停めることができます。
パッドとディスクローターの間で起きていること
各車輪には、鉄でできた「ディスクローター」がそれぞれついています。ディスクローターを2枚のパッドで強く挟むことで、タイヤの回転を止めようとします。パッドは鉄の板に摩擦材を貼り付けたもので、摩擦材がディスクローターに接しています。
ブレーキを踏むと、その力はブレーキフルードを伝わり、エンジンの助けを借りて倍増され、摩擦材が回転するディスクローターを強く挟みます。この時パッドとディスクローター間には摩擦熱が発生し、それぞれが削れていきます。
ブレーキに関しては、よければ↓こちら↓をご一読下さい。
ブレーキダストの原因
ホイールに付着して茶色い汚れの原因となるブレーキダスト。これは削れたパッドの摩擦材、削れたディスクローターの鉄粉がその原因です。つまりホイールが汚れるということは、パッドもディスクローターもそれぞれちゃんと仕事をしたということなのです。
外車にブレーキダストが多い理由
このブレーキダストですが、実は外車の方がより多くのブレーキダストを出すため、外車の方がホイールが汚れやすくなっています。
外車の場合パッドとディスクローターの両方が削れることで制動力を出しているようです。ですからパッドが摩耗したら、ディスクローターも摩耗しているので、パッドとディスクローターをセットで交換することになります(これが部品代に跳ね返ってきます)。
国産車の場合はディスクローターの素材が違うのか、主にパッドの方が減りが大きいのです。ですからパッドが摩耗したら、パッドだけを交換する、パッドを2回交換したらディスクローターも交換という感じの運用になります。
これは外車よりも国産車の方が優れているという話ではなく、設計思想の問題なのですね。
ブレーキダストの掃除
ブレーキダストは摩擦材と鉄粉の混ざったものですので、アルミホイールの場合はマメに掃除した方が良いでしょう。アルミの場合、鉄粉が食い込むとなかなか落とせなくなります。ではブレーキダストを掃除するにはどうすれば良いのでしょうか。
ブレーキダストはお湯+台所用洗剤で落ちる
私の場合は、お湯+台所用洗剤で掃除しています。スチームがありますので、それで80℃のお湯を作り、それをシャワーのようにしてホイールに浴びせながら、台所用洗剤をたっぷり塗ったブラシで洗います。
やはり水よりは、お湯の方が汚れ落ちはいいですね。
落ちない場合は無理にコスらない
完璧を求めるあまり、無理してゴシゴシとコスり続ける人がいますが、ホイールに傷をつけてしまいますので、あまりオススメできません。少し物足りない位で止めておくのがコツです。
お湯+台所用洗剤でブレーキダストを落としてみた
左:before 右:after
外側を観る限り、そんなに違いは見えませんね。リムの所が少し茶色くなっている位の違いでしょうか。
ですが内側を見ると・・・うひーっ、これは勘弁!
まずは80℃のお湯をかけて汚れを落ちやすく。
台所用洗剤を含ませたブラシでゴシゴシ。たちまちまっ茶色に。
これが本来の色ですね。
残ったブレーキダストや、細かくてブラシが届かない部分は、クリーナーを使うといいかもしれませんね。
ブレーキダスト洗浄用クリーナーはどうよ?
私もいくつかブレーキダストクリーナーを使っては見たのですが、結局お湯+台所用洗剤に落ち着きました。完璧を目指す方にとっては物足りないかもしれませんが、完璧を目指さなければ十分事足りるからです。
ですが、私が使ってみて「これは良かったな」と思うものを挙げておきます(あくまで参考程度にして頂ければ幸いです)。
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ブレーキダスト防止の対策ってあるの?
残念ながら、ブレーキダストを完全に防ぐことはできません。ブレーキが効くからブレーキダストが出るのです。ブレーキダストが出ないのは、ハイブリッド車のような全く異なる発想の制動方法を行う車両になります。
もし私がブレーキダストに悩むとしたら、ホイールのすき間からエアーガンでブレーキダストをマメに吹き飛ばしたり、洗車の際にキャリパー回りを重点的に洗うようにすると思います。
また夏冬のタイヤ交換の際に、外したタイヤを洗っておくというのも良いかと思います。保管袋や保管庫にしまう前に、よく洗いよく乾かしてからしまいましょう。
ブレーキダストに悩んだら
一度ご相談下さい。100%は落とせないと思いますが、お湯+台所用洗剤の威力がどれほどのものか、お見せすることはできると思います。
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