マフラーから鳴り響く、突然の「ボボボボ」音。エンジンをかける度、隣近所にいい音が響き渡ります。走っていた方や色々いじっていた方でしたら馴染みのある音だとは思いますが、それ以外の圧倒的多数の方々は「修理してけさい」と言う、そんな音です。
マツダMPVのマフラー折損
今回修理させて頂いたのはマツダのMPVです。エンジンから排気管がリアまで伸びて、後輪の辺りで二股に分かれています。その二股の手前できれいに折れています。
マフラーには消音の役割があります。エンジンから出て来た、圧縮され熱を持った排気をマフラー内部で膨張させて、音のエネルギーを消しています。
今回はマフラーの手前で折れていますので、音のエネルギーがそのまま大気に開放されるため、大きな音となって出て行くのです。
当然ですがこの状態では、車検は一発アウトです。交換するか、修理するかの、どちらかしかありません。
交換する場合いは、純正品だとかなり高額なので、車外新品や中古を使うと良いでしょう。探し方が分からない方は↓こちら↓から型式を入れて探してみて下さい。
折れたマフラーの修理
仮溶接
まずはマフラーを車台に吊った状態で、折れた所を密着させ、その状態で仮の溶接を行います。
マフラーや排気管を全部下ろしてから溶接するのも一つの方法ですが、ズレがあると、取り付けた時に寸法が合わなくなり、吊りゴムに入らなかったり、振動で車台に当たるなど、色々問題が出てきます。
仮溶接を行ったところ
本溶接
マフラー吊りゴムを外し、排気管とマフラーが一体の状態でガクンと下げて、溶接するための作業スペースを作ります。
仮溶接の部分が重さに耐えきれないことも想定して、左右の排気口を針金やS字フックで吊り下げて、荷重を分散させると良いですね。
本溶接を行ったところ
巣穴を塞ぐ
私はアセチレンによるガス溶接で折損部分を溶接しました。アセチレンガスのトーチは、切断用と溶接用の2つがありますが、私はどちらも切断用で作業しています。
ガス溶接の場合、どうしても細かい「巣穴」ができてしまいます。その巣穴からガスが漏れたり、排ガス中の水分が染み出てきます。
なので私は、仕上げにガンガム缶を使って巣穴を塞ぐようにしています。
車検の時間が迫っている時は
車検の予約時間が迫っていて、急いで修理しないとならない、だけど溶接している時間がない。
そんな時は、穴が開いている部分にアルミテープを巻いて、その上からガンガムを塗るようにしています。
一時的な対処でしかありませんので、後日交換か修理が必要となりますが、そういう方法もありますということです。
マフラー溶接の修理代
マフラー溶接の修理代ですが、修理の難易度によって変わります。外さないと修理できない、だけどナットが錆びて固着している、折れてしまったなどあれば、当然時間も金額もかかります。
今回のようにきれいに折れていて、かつ降ろさなくても修理できた場合で、およそ1.5時間となり、請求は1万円前後となります。
マフラー溶接後にボボボボ再発?
今回は折れ方が良かったので、再度折れることはないと思いますが、全体的に肉厚が薄くなっているようですから、別の場所が折れたり、穴が空いたりする可能性はあります。
それに対してどこまで修理するかですね。
車検が近づいていて、車検を通してあと2年は乗りたいというなら、この程度の修理で大丈夫です。
長く乗りたいというなら、交換をオススメするでしょう。
ただ、今後故障するのは「そこだけ」ではないはずですから、私だったら車の買い替えを勧めます。
気配り車検・気配り整備
修理代をかければかけるほど、手放す決断がしにくくなります。ですから私は、お車の修理を依頼されたら、時には「修理しない方がいいですよ」「交換しないでこのまま乗りましょう」という事もあります。
お客さんのご依頼には反するかもしれませんが、その方がお客さんのためになると思ったら、躊躇せず買換えを勧めます。
それが鈴木ボデーの気配り車検・気配り整備です。