日立に勤めていた頃、職場にすんごいブサイクな女性がいたんです。
背が低くて、ちょっと太めで、顔の作りがちょっと残念で、黒系の地味な服装で、髪型もちょっと残念な感じの女性でした。でもね、不思議と嫌な感じじゃなくて、むしろちょっと好感を持ってたんです。
職場に電話が来ると、その女性が真っ先に取るんです。で、すごいのはここから。社員の内線番号を全部覚えていて、内線呼び出しをプッシュしながら「○○さ~ん」と名前を呼ぶんです。
で、顔を上げた瞬間に手元の内線電話が鳴るんです。もうビックリですよ。名前を呼ばれた瞬間に手元の電話が鳴るんですから。取り次ぐまでの時間が最小限でしたから、お客さんを待たせる時間も最小限でした。
それだけではなくて、書類を回覧する時にちょっと向きを揃えて読みやすくしておいてくれるとか、お土産のお菓子をきっちり分けてくれて、出張に出ている人の分は冷蔵庫に入れておいてくれるとか、とにかく周囲の人が気持ちよく過ごせるように気を配る達人。
日立と言っても色んな会社があって、同じフロアに色んな会社が入っていたんだけど、その女性は自分の会社だけではなく、どの会社の社員にも分け隔てなく気配りをしてくれてた。
私、その女性にちょっと惚れてたかも。外見だけ見たら惚れる要素はないんだけれど、内面からにじみ出てくる何かに間違いなく惹かれてた。もし息子の嫁さんを選ぶなら、間違いなくあんな感じの人を選ぶだろう。
自分の現状に不満を持っていて、その不満を他人や環境のせいにする人っているけれど、そういう人って姿形が整っていても、やはり「ブサイク」なんだよね。
人が惹かれるもの。それは「内面の輝き」なんだな。