工学部合気道部の稽古に参加。
彼らの昇級昇段の責任は私にある。昇級昇段に相応しい技を身につけているかどうかの見極めも兼ねた稽古である。
主将は私の息子と年齢が近く、しかも県工の後輩。
可愛いに決まっている。だけど技に関しては絶対に妥協はできない。工学部合気道部53年の歴史、そして大先生、斎藤先生、柴田先生と受け継いできた合気道はそれだけ重い。
主将の技の途中で何度もダメ出し。目の前でやってみせ、直させる。
主将が後輩の目の前でダメ出しを喰らう。
カッコ悪いだろう。正直嫌だろう。
恨むなら恨め。オレは喜んで恨まれよう。
そして最後の技。私と主将で組む。
私は30代の主将。彼は53代の主将。
私は46歳の中年。彼は21歳の青年。
互いに技をかけあいながら、こんな言葉をかけた。
「人一倍痛い思いをして、人一倍恥をかくんだよ。
そうやって技を身につけて後輩に伝えていく。
それが主将の仕事なんだよ。その姿を見た部員は、
だれも君の事を笑わない。
君は主将の仕事をするんだ」
4年間の大学生活を「就職予備校」とせず、熱い稽古をして、魂が震えるような経験を積んで社会に出てきて欲しい。
工学部合気道部に伝わる合気道には、それだけの力があると私は信じている。